少女コミックから生まれた珠玉のSFストーリー

少女コミックから生まれた珠玉のSFストーリー

今回は萩尾望都の漫画「Marginal(マージナル)」のあらすじや内容、試し読みできる電子書籍サービスを紹介します。

以下の電子書籍サービスでは「Marginal」の一部ではありますが、無料で試し読みすることができるので気になった方はどうぞ。

「Marginal」の試し読み
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物語の舞台は砂漠の惑星・マージナルです。この惑星では、都市(シティ)とその周辺に住む部族は聖母(ホウリ・マザ)と呼ばれる人物から子どもを「授かる」ことで社会を形成していました。

しかし、聖母から授かる子どもの数は年々減少しており、社会は衰退しつつありました。

 

過疎に悩む部族の青年・ グリンジャは政府に疑念を抱き、聖母の居る都市に乗り込んで部族の仲間とともに聖母暗殺を企て、実行に移します。

その帰り道で迷い子・キラと出会い、グリンジャはキラを自分の村へ連れて帰ろうとします。キラは色子(未成熟な人間)から脱したばかりの若さで、子どもを授かることのできないグリンジャにとっては重要な価値があったからです。

”男”しかいない世界に生まれる、幼き美しき存在

”男”しかいない世界に生まれる、幼き美しき存在

惑星マージナルは現在の地球とは余りに異なる社会構成なので、少し補足しておきます。

マージナルの環境では人間は生殖が非常に困難です。そこで生活しているのはヘテロ型=XY染色体ばかりで、簡単に言えば男だけの社会です。

自力で子孫が作れないのでは一代で滅亡してしまうため、マージナルでは”聖母”と呼ばれる存在を用意して住民たちに子どもを授けています。

 

砂漠で繰り広げられる三角関係

キラを保護したグリンジャは村へ帰ろうとしますが、その帰途で黒衣の青年・アシジンによってキラを略奪されてしまいます。

アシジンのアジトである岩屋に連れていかれたキラは、そこでアシジンと暮すようになりますが、キラは後を追ってきたグリンジャとも友好的に接した為、アシジンとグリンジャの間で確執が起こります。

この3人の人間関係が物語序盤の見どころだとも言えます。「地球人」の観点からすると、キラの容姿は少女のようです。

口内に生えた犬歯が目立つのが特徴でマージナルの人間たちからは「キバが生えている」と揶揄されますが、この身体的特徴にも理由があり、それは物語の進行とともに明らかになっていきます。

SF要素が好きなら絶対オススメ!

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生殖能力を奪われたマージナルの住人たちは、それぞれの立場から子孫獲得への道を模索します。それは時には個人間の対立を生み、時には政府への反逆となります。

子どもを授ける能力を失った”聖母”は暗殺されますが、政府は第2、第3の聖母を擁立しようと画策します。

政府による生殖の運営管理には謎めいた人物・メイヤードが関わり、彼の言動から人類の遺伝子管理、はては惑星規模の社会シミュレーションといった壮大な計画が見え隠れします。

キラはこの物語の「ヒロイン」的立場ですが、それはキラの存在自体が人為的な遺伝子管理とは全く異なるアプローチで生殖の問題を解決する可能性を秘めているためです。

 

この作品は最近で言うところのボーイズラブ要素が濃いですが、そのためにSF考証を駆使して惑星まるごとBLワールドとして構築してしまう所がスゴイです。

女性の視点でSFをやると本当に自由なテーマ・世界観が生まれるものだなあと感嘆するばかりです。

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